絵を描いている少女

思いついたシーンを片言で書いてみた

 

湖の畔。
絵を描いている少女。
筆で規格を図る。それらしい。
とても絵とは言えない。
この景観を素材にして、どうしてできあがったものがこれなのか。
まったく理解が及ばない。
なかなか理解が得られない。
それこそが芸術の王道ではなかろうか。険しき道のり。
落書き? 絵と落書きの違いとは何か?
あるものか。そんなもの。
誰かから見た落書きだって、書いた本人からすれば大切な思い出の1ページかもしれない。
要はそこに、想いが込められていればいいのだ。
だから誰が何というと、これは絵だ。
一度、我に返ってはおしまいの自問。
どうにか振り切る。
芸術に必要なのは童心。子どもが持つ無邪気さ。
描かれたものから何を読み取るかは、それを見た人の自由。
だから小難しいことなんて考える必要はない。
思いのままに、心の赴くままに。
えいや!
ビチャ。絵具が盛大に跳ね散らかる。
「…………」
ちょっとやりすぎちゃったかな・・?
取り返しがつかない。
いやいや。
大丈夫。きっと何とかなる。
大事なのは気の持ちよう。
これもまた内なる私からのメッセージ。
「葛藤」と名を付ける。
私くらいになると絵だけではない。
線の一本一本にタイトルが付くのだ。
主張が激しすぎる。
ほかを調整してバランスを合わせよう。
なぜ勇者がここに来たのか。
もちろん、絵を描くためだ。
新しい景色に触れる。
インスピレーションに繋がる。
傑作が生まれるだろう。
芸術家の鏡だ。
それともう1つ、ついでの目的がある。
それは・・。
雷鳴が轟く。暗雲が立ち込める。
亀裂。次元の歪み。
武人。鎧兜をまとった。
立ち上がる。剣を抜く。
もう少し遅れてきてくれてもよかった。
ようやく筆が乗って来たところだったのに。
傑作が生まれる予感だった。
世界がこの絵の完成を待ち望んでいる。
それを阻むとは、さすがは世界に仇なす悪の手合いだ。
ちゃっちゃと終わらせるよ!